★事務所だより2023年3月号★

いつもお世話になっております。
春の陽気が待ち遠しい今日この頃、いかがお過ごしですか。
それでは、今月の事務所だよりをお届けします。
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◆ 2023年3月の税務
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3月10日
●2月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
3月15日
●前年分贈与税の申告(申告期間:2月1日から3月15日まで)
●前年分所得税の確定申告(申告期間:2月16日から3月15日まで)
●所得税確定損失申告書の提出
●前年分所得税の総収入金額報告書の提出
●確定申告税額の延納の届出書の提出(延納期限:5月31日)
●個人の青色申告の承認申請(1月16日以後新規業務開始の場合は、その業務開始日から2ヶ月以内)
●個人の道府県民税・市町村民税・事業税(事業所税)の申告
●財産債務調書・国外財産調書の提出(令和4年分。令和5年分以降は6月30日)
3月31日
●個人事業者の前年分の消費税・地方消費税の確定申告
●1月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人及び個人事業者(前年12月分)の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者(前年12月分及び当年1月分)の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●7月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の4月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の12月、1月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(11月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
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◆ 令和5年度税制改正大綱 資産課税編
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◆資産移転時期の選択に中立的な税制の構築
 被相続人の高齢化に伴い、個人金融資産などの資産が高齢者に偏在するなかで、若年層への資産移転を図るとともに、相続や贈与に伴う税負担の違いが資産移転の時期の選択にできるだけ影響しないようにするため、資産課税の見直しが図られます。
◆相続時精算課税贈与は利用しやすく改正
 相続時精算課税制度では、特別控除額2,500万円とは別に、課税価格から暦年で110万円の基礎控除を受けられるようになります。また、相続財産の価額に加算される相続時精算課税贈与額は、基礎控除後の残額となります。これは、暦年贈与課税と同様に、少額贈与については課税せず、事務負担の軽減をはかるものとなっています。
 また、贈与を受けた土地・建物が災害により被害を受けて資産価値が下落した場合、相続税の課税価格に加算される財産の価額は、被害を受けた部分の金額を控除した額となります。いずれも、令和6年1月1日以後の贈与から適用されます。
◆暦年課税贈与の加算期間は、7年に延長
 暦年課税贈与は、相続開始前7年間(現行は、3年間)に受けたものが、相続税の課税価格に加算されるようになります。この場合、延長された4年間の贈与は、贈与を受けた財産の合計額から100万円を控除できます。令和6年1月1日以後の贈与から適用となります。
◆教育資金、結婚・子育て資金贈与は延長へ
 教育資金の一括贈与に係る非課税制度、結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税制度は、富裕層に大きな節税メリットがあり、資産格差を固定化させる一方、近年は利用件数が低迷していました。政府税調ではこれらの制度の廃止または縮小の意見も多く出されていましたが、税制改正大綱では、節税的な利用につながらないよう、一部改正の上、教育資金贈与の非課税制度は、適用期限を3年延長、結婚・子育て資金贈与の非課税制度は、2年延長となりました。
◆マンション評価は適正化を検討
 この他、閣議決定前に公表された自民党・公明党の税制改正大綱(R4.12.16)では、マンションの財産評価について、マンションの市場価格と財産評価基本通達に基づく相続税評価額との間に大きな乖離が見られることから、納税者の予見可能性を確保するべく、相続税法の時価評価のもと、適正化を検討する方針が示されています。
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◆ 令和5年度税制改正大綱 消費課税編
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◆小規模事業者の納税額を2割負担に軽減
 フリーランスなど免税事業者が、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間にインボイス発行事業者となった場合、税額負担を2割に軽減する措置が適用されます。みなし仕入率が80%の簡易課税制度と同じ計算方法となります。特例の選択は、申告時に確定申告書に付記することで行えます。
 この特例は、課税期間の特例の適用を受ける課税期間及び、令和5年10月1日前から課税事業者を選択している事業者には適用されません。
 特例の適用を受けたインボイス発行事業者が、適用を受けた課税期間の翌課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出したときは、その提出した課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。
◆インボイス交付の事務負担を軽減
(1)一定規模の事業者は帳簿のみ保存で可
 基準期間の課税売上高が1億円以下または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの課税仕入れが1万円未満の場合、帳簿のみの保存で仕入税額控除ができるようになります。
(2)1万円未満の値引はインボイス不要に
 売上げに係る対価の返還等が1万円未満の場合(1回の取引の課税仕入れに係る税込金額で判定)、適格返還請求書の交付義務が免除されます。これにより振込手数料相当額が控除されて支払を受ける場合も、返還インボイスの交付は不要となります。
◆インボイス登録制度見直しと手続き柔軟化
 免税事業者がインボイス登録申請書を提出し、課税期間の初日から登録を受けようとする場合、当該課税期間の初日から起算して15日前の日(現行は当該課税期間の初日の前日から1か月前の日)までに登録申請書を提出するよう期限が緩和されました。 
 また、インボイス発行事業者が登録の取消しを求める届出書を提出し、翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合は、その翌課税期間の初日から起算して15日前の日(現行はその提出があった課税期間の末日から30日前の日の前日)までに届出書を提出するよう期限が緩和されました。
 なお、令和5年10月1日からインボイス登録を受けようとする事業者が登録申請書を令和5年3月末までに提出できなくなった場合、「困難な事情」の記載がなくても、4月以降に登録申請できるようになります。