★事務所だより2020年9月号★

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◆ 2020年9月の税務
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9/10
●8月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

9/30
●7月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事
業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・
地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

●1月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住
民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<
消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の6月、7月決算法人を除く法人・個人事業者の1
月ごとの中間申告(5月決算法人は2か月分)<消費税・地方消費税>

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◆ チケット寄附金控除とふるさと納税
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◆チケット寄附金控除とふるさと納税の違い
 コロナ対策税制の一つで「国が認定したイベントチケットを払い戻さない場合
は税の控除が受けられる」という制度ができました。寄附金控除といえば、地場
の特産品がお得に貰えるというふるさと納税が人気です。ふるさと納税は「個人
の所得や控除によって決まる上限金額」より年間のふるさと納税額が低ければ、
基本自己負担は2,000円で済み、それ以外は住民税や所得税が減額されるという
のが特徴です。
 チケット寄附金控除に関しては、ふるさと納税だけに許されている住民税をた
くさん引いてくれる控除がないため、自己負担は2,000円とはいかず、税を引く
額は最大でもチケット代金の50%程度になります。ふるさと納税では適用できな
い、所得税の「認定NPO法人等寄附金特別控除」が利用でき、所得税率に依存
しない減額になる仕組みです。

◆ふるさと納税控除上限に影響しない?
 細かな計算を省略すると、ふるさと納税の上限は「個人住民税(税額控除前)
所得割額の2割強」となります。チケット寄附金控除は基本所得税部分(所得控
除を選択適用可)も住民税部分も税額控除で、ふるさと納税の自己負担が2,000
円で済む控除上限金額の計算式に作用しないため、ふるさと納税の上限が低くな
ることはありません。
 ただし、年間の寄附総額(チケット+ふるさと納税+その他の控除を受けられ
る寄附)が総所得の40%(住民税は30%)を超える部分は、寄附金控除自体が受
けられなくなるため、実質ふるさと納税が自己負担2,000円では済まなくなる可
能性がありますが、個人の所得の3割以上を寄附に費やすというのは、あまり考
えられることではないので、大半の方は「チケット寄附金控除とふるさと納税は
別モノで特に干渉しない」と考えてOKです。

◆両方の控除手続には注意が必要
 ふるさと納税には、「確定申告しない」「年間で5か所以内の自治体への寄附
であること」が条件のワンストップ特例申請制度があります。この制度を使えば
確定申告をしなくて済みますが、対してチケット寄附金控除は「確定申告が必須
」となっていますから、チケット寄附金控除を受ける場合には、ふるさと納税の
ワンストップ特例制度が利用できなくなります。ご注意ください。

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◆ 給与計算と不就労控除
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◆控除に対するルール決めが必要
 給与計算において、賃金計算期間途中に従業員が欠勤、遅刻、早退、私用外出
等で休み給与から不就労控除をする場合、働いていない分の給与の支払い義務は
ありませんが、控除のルールを決めておかないと無用なトラブルになりかねませ
ん。
 賃金は労働力の対価ですので、不就労(労働力が提供できない)の場合、対価
(賃金)はノーワークノーペイの原理からして得られません。ただ月次給与は基
本給などの定額項目が多く、定額部分の金額を変更することは煩雑です。そのた
め月次給与を減額する時の項目やルールが必要になります。

◆不就労控除をする方法
 控除をするには(基本給+手当)÷1か月平均所定労働時間数×不就労控除時
間数が一般的ですが、欠勤控除の方法は労働基準法に規定されていません。欠勤
控除をするには次のようないくつかの要素があります。
(1)1日当たりの金額を算出する場合、分母をどうするのか?
ア、「当該月所定労働日数」不就労があった月の所定労働日数
イ、「年平均所定労働日数」1年間の所定労働日数を12で除した日数
ウ、「当該月暦日数」不就労があった月の暦日数
(2)1時間当たりの金額を算出する場合の分母をどうするのか?
ア、「当該月所定労働時間数」不就労があった月の所定労働時間数
イ、「年平均労働時間数」1年間の所定労働時間を12で除した時間数
(3)不就労の時間を控除するのか、就労した時間を支給するのか?
ア、「控除方式」遅刻や欠勤で不就労になった時間相当額を控除する
イ、「支給方式」実際に就労した時間相当額を支給

 当該月の所定労働日数で控除すると月により時間単価が変わってきます。また
、1年の平均労働時間数を使えば分母が毎月変わらなくていいのですが、1日だけ
出勤したときに給与が0になる場合があります。暦日方式は土日祝日の分も支給
されてしまうなど問題があります。結局、通常簡便な方法としては年平均所定労
働時間数を使う控除方式が扱いやすいと言えるでしょう。