★事務所だより2021年12月号★

いつもお世話になっております。
街路樹の落葉が歩道や車道に舞い散る季節になりました。
秋から冬へ、季節の流れは早いものですね。
それでは、今月の事務所だよりをお届けします。
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◆ 2021年12月の税務
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12月10日
●11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収税額(当年6月~11月分)の納付
翌年1月 4日
●10月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●4月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(8月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○給与所得者の保険料控除申告書・配偶者控除等申告書・住宅借入金等特別控除申告書の提出(本年最後の給与の支払を受ける日の前日)
○給与所得の年末調整(本年最後の給与の支払をするとき)
○固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付(12月中において市町村の条例で定める日)
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◆ 《コラム》パートの社保加入の影響と企業の対応
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◆2022年10月から社会保険適用拡大
 今まで対象外だった企業・社会保険の適用対象者が拡大されます。改定ポイントは
①以前より小規模な企業(従業員数が常時100人超)も対象になる
②勤務期間が短い(2か月超)労働者も対象になる
 現行では人員規模が500人超企業が対象でしたが、規模が100人超に引き下げられ、さらに2024年10月には50人超に引き下げられます。企業規模の従業員数とは社会保険の被保険者数で判断します。
 人数は月ごとに数え直近12か月のうち6か月で基準を上回ると対象事業所です。
 また、短時間労働者の範囲は1年以上雇用の方が対象でしたが、2か月を超えて雇用していれば対象になります。
◆現行の短時間労働者の社会保険適用要件
 社会保険の加入要件を満たす労働者とは
①週の所定労働時間が週40時間(フルタイム勤務)の労働者
②所定労働時間がフルタイムの4分の3以上(多くは30時間以上)労働者
が加入者とされていました。2016年4月より従業員が一定数(500人)を超える企業の短時間労働者にも適用されるようになりました。2022年10月から100人超企業とされ雇用期間も2か月を超えて雇用すれば対象となります。今から準備が必要でしょう。
 短時間労働者の適用条件は、
①所定労働時間が週20時間以上あること
②雇用期間が1年以上であることが見込まれること(2022年9月まで)
③賃金月額が88,000円以上であること
◆企業への影響と対応策
 企業において大きな影響は社会保険料の負担増加です。
月額10万円のパートが10名いたとして新たに負担となるのは年額で約185万円です。
費用を早めに考えて計画しておく必要があります。この先加入となる労働者に対して、対象者になることを説明する必要があります。
半年前など早い段階からの説明が良いでしょう。
加入を希望しない方には労働時間の変更が必要です。
又は社員転換等雇用形態の変更もあるかもしれません。
従業員から見れば将来の年金額が増えメリットと感じる方もいるでしょう。会社全体の人員配置の見直しが必要になるかもしれません。
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◆ 生命保険金の相続税申告
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生命保険金は、相続に際して節税商品や納税資金として利用されますが、うっかりして相続税の申告が必要なことに気付かないまま、税務調査で申告漏れを指摘される事例が今年に入って増えています。
多くは納税者の誤解や失念、税理士への事前説明が漏れたことによるものですが、税務署に隠蔽仮装と指摘されて思わぬ税負担を求められることがあるので注意が必要です。
◆生命保険金は相続財産ではない
 生命保険金は相続によって被相続人から承継されるものではなく、保険金受取人の固有の財産であるため、遺産分割の対象とはなりません。
また、被相続人が生前、相続人に贈与した生計の資本、養子縁組や婚姻のための贈与(特別受益)にも該当しないため、生命保険金は相続税の申告対象にはならないと思うかもしれません。
◆相続税では相続財産とみなして課税される
 しかし、相続税では被相続人が保険料を負担した生命保険金も申告対象となります。
民法上の相続財産ではありませんが、経済実質的には、被相続人の死亡によって財産を取得するので、相続財産又は遺贈財産とみなして相続税が課税されます。
その際、法定相続人1人当たり500万円の非課税措置があるので、限度額を超える部分のみの課税で済みますが、申告が必要なことに変わりはありません。
 なお、生命保険金は特定の相続人だけが取得するので遺産分割で考慮すべきか気になるところですが、判例には保険金の額、遺産総額に対する比率、同居の有無、被相続人に対する介護の度合い、各相続人の生活実態などの諸事情を総合考慮して相続人の間で不公平が是認できないほどに著しい特段の事情がある場合は、特別受益に準じて持戻しの対象と解するのが相当であると判示したものがあります。
◆申告漏れとならないように
 税務調査で生命保険金の申告漏れが判明した場合、不足税額に加え、延滞税(納付遅延期間の利子に相当)や過少申告加算税(10%又は15%)が課されます。
また申告漏れが隠蔽仮装であると認定された場合は、過少申告加算税に代えて重加算税(35%又は45%)が課され、税負担がさらに重くなります。
相続人に生命保険金を受け取る人がいるときは、必ず契約内容を見て課税上の取扱いの確認を受け、申告漏れとならないようにしましょう。