事務所の選び方(会計事務所の形態編)

会計事務所を選ぶ時、色々な名前の事務所があるけど何が違うんだと思われた方もいるかもしれません。

例えば
①○○会計事務所
②○○税理士事務所
③○○公認会計士・税理士事務所
④○○税理士法人
というような名前です。

人によっては、税理士法人ということは、法人=会社みたいなものだから、しっかりしてそうで安心できると思われる人もいるかもしれません。
結論から言います。

事務所の形態によって会計事務所の良し悪しはわかりません。
それぞれ簡単に解説していきます。


①○○会計事務所

  税理士が経営している事務所又は公認会計士が経営している事務所。
  前者の場合、②の○○税理士事務所と同じになります。
公認会計士が経営している事務所の場合③の○○公認会計士・税理士事務所と同じになります。
なお、税理士法人○○会計事務所というような名称を取っている場合には、④の形態と同じになります。

②○○税理士事務所

 これが一番ポピュラーな名前かもしれません。名前の通り、税理士が経営している事務所です。

③○○公認会計士・税理士事務所

 私の事務所もこの名称です。これは、公認会計士と税理士の資格を2つ持った人が経営している会計事務所です。

④○○税理士法人

これは上の①②③とは法律上の形態が少し違います。
①②③は個人事務所ですが、④は会社のような形態となっています。

簡単に説明すると、税理士が2名以上集まって作った会社のようなものということです。
規模は小さなところから大規模なところまで本当に様々です。大きな事務所のほとんどは、税理士法人の形態にしています。

以上のように①~④は会計事務所の名前が変わっただけであり、実質的に名前による違いは特にないという結論になります。

基本的に会計事務所の名前が違うだけなのですが、選ぶ際に少し注意する点がありますので、下をご覧下さい。

どの形態の会計事務所を選ぶのがよいのか?

 自分の会社の規模がどれくらいかによって、ベストな会計事務所は変わってきます。

会社の年間売上高が100億円超または上場企業の場合

自分の会社の売り上げが年間100億円を超えるような会社の場合、または上場企業の場合は、④○○税理士法人を選ぶのがよいと思われます。
 下でも説明しますが、小規模な法人ではなく、税理士が100名以上所属している大規模なところを選んでください。

 なぜなら、このクラスの会社の場合、取引形態も複雑になっていることが多く、また国際間で複雑な取引をしている場合も多いため、小さな事務所ではノウハウが不足しているケースが多いからです。

会社の年間売上高が30億~100億の場合

自分の会社の売り上げが30億~100億の間位であれば、①~④のどの形態かはあまり考えなくても良いと思います。「最後に」の項目をご覧ください。

会社の年間売上高が30億未満の場合

 自分の会社の売り上げが30億未満の場合には、100億の場合とは逆に大規模法人は避けた方がよいです。

 なぜなら、大規模法人では、新人からベテランまで多数の税理士を抱えていますが、規模の小さな会社には、新人・経験の浅い税理士や無資格の職員が対応する可能性が高いからです。(もちろん全部とは言いませんが)

会計事務所も商売なので、報酬をたくさんもらうお得意さんであり、また複雑な取引の多い、大きな会社のほうにベテランを配置するのは、当然の選択なのです。

また上でも書きましたが、税理士法人の方が会社とほぼ同じ形態なので、しっかりしてそうというのは幻想です。
税理士法人にも様々あり、法人形態だからといって無条件に信頼するのは考えものです。

なぜなら、税理士が2名以上集まれば税理士法人は作れるので、極端な話、合格したての税理士友達2名だけでも、税理士法人は設立できてしまうからです。
そのため、会計事務所を選ぶ際は、法人という肩書は無視して選ぶことをお勧めします。

なお、これは完全に個人的な意見ですが、自分の会社の売り上げが1億円に満たないような会社の場合には、従業員が10名未満の小規模な事務所の方が、あっていると思います。

なぜなら、小規模な事務所である方が、ベテラン職員や所長が対応してくれる可能性が高いため、より質の高いサービスを提供してくれる可能性が高いと思われるからです。(もちろん小規模事務所でも経験の浅い職員が対応する場合も当然ありますが。)

例えば大きな事務所の所長に自分の会社を見てもらいたいと思っても、その事務所が抱えているお客さんの数からいって、自分の会社が所長に見てもらえる可能性は、当然低くなるわけです。

最後に

以上色々あげましたが、最終的にはその事務所の所長との相性となってきます。
そのため、顧問契約を結ぶ前に一度税理士と直接面談し、信頼できる人物かどうかを見極めることが一番だと思います。

また、規模が大きな会計事務所の場合には、担当の職員の方との相性もありますので、その方との相性も面談の際に見極める必要があります。