賢い社長が「3年10ヵ月落ちのベンツ」に乗る理由という記事に対する私見

 つい最近賢い社長が「3年10ヵ月落ちのベンツ」に乗る理由【税理士が解説】というネット記事を読んだのですが、そこの記載内容に驚きました。

 詳細は省きますが、内容としましては前ページのその節税対策は本当に節税になっていますか?」で記載したのと同じような内容が書かれていました。

 その内容をまとめると
 ①ベンツなどのあまり値段の落ちない車は、購入後1年経っても価値の下落が小さいので売却した時にお金が戻ってくる。
具体的には新車価格1,000万円のベンツを4年落ち600万円で購入して、1年で100%償却したとしてもまだ3~400万円で売却できる可能性が高い。
 ②全額経費で落とした段階で決算書上出てこないので数百万円の簿外資産を持っている状態となるし、資金繰りが厳しくなったような場合でも、これを売却して資金を作ることが可能。
 というような内容です。
 個人的にはこのようなお金の使い方をしていれば、会社にお金は残らないなという感想です。

まず①ですが、1年で100%償却した場合法定実効税率が30%程度なので、初年度で税金が安くなる金額は大体180万円くらいです。
 ただ1年後に300万~400万で売却できるという事なので、その際には逆に売却益に課税され通常より税金が90万円~120万円増加します。
 そうすると結局は税額的には60万円~90万円程安くなったにすぎません。
 さらに見ていただきたいのは、600万円で買った車を1年後に3~400万円で売却しているわけですから、お金はたった1年で200万円~300万円減少しています。
 上記の安くなった税金を加味しても、最終的には1年で140万円~210万円のおかねが減少しています。
 はたしてこのような取引を節税とよんでよいのでしょうか?
 また②についてですが、簿外資産としておいて資金繰りが厳しくなったような場合に売却して資金を作ることが可能といいう事ですが、そもそもベンツを購入せずに預金としておいておけば、税金を加味しても420万は手元に残ったはずです。
 ベンツを1年後に売却したケースでは210万円~280万円程しか手元に残っていません。
 また個人的には簿外に資産を貯め込んでおく必要性を全く感じません。
 経営者は資金繰りが将来苦しくならないように無駄なお金を使わないようにし、このような取引を行うくらいならキャッシュで貯めておく方が正解だと思います。
 上記はあくまでも個人的な私見で税理士によって色々な考え方があるかと思いますので、経営者の皆様は自分の頭で何が自分の会社にとって良いかという事を考えていただければなと思います。